『ユリディケ〓時をこえた旅人たちの物語』は、〈サラファーンの星〉四部作の2000年後の世界を描いた作品です。1989年に理論社から出版されましたが、現在絶版になっていますので、読んでいただけるようネットで連載することにしました。年末か年明けにはスタートできたらと思っています。
『ユリディケ』は、暗い伝説の時代を生きた仲間たちが、長い時を経てふたたびめぐり会い、ともに試練を乗り越え成長してゆく物語です。
書き終えたあと、主人公たちとの別れが寂しくなったこともあり、彼らがかつて生きていた2000年前の時代は、どのような時代だったのか、そのときどんなふうに出逢い、どんな青春を生きたのか、どんな喜びや悲しみがあったのか、それをもっと知りたくなりました。伝説では(つまり〈サラファーンの星〉四部作では)、ある悲劇が起こりますが、なぜそのようなことが起こったのか詳しく知りたいと思ったのです。なにか深い理由があることは、わかっていましたから。
そうして生まれたのが〈サラファーンの星〉四部作でした。
書き手であり最初の読み手でもあるわたしが、ひとつひとつ〈真実〉を探しながら時代をさかのぼっていったように、もしかするとこの物語は、あとの時代の話を先に読む方がよいのかもしれません。しかしながら、『ユリディケ』をもう一度出版することは、時間的にも資金的にも叶いませんでした。そこで、四部作を書き終えたら、ネットで発表しようと決心したのです。
今そのための改稿作業を進めています。2019年はちょうど出版30周年。どなたでもお読みいただけるよう、半年か一年間、期間限定で公開して、そのあとは電子ブックという形でまとめる予定です。
一冊で完結していますので、『ユリディケ』だけお読みいただいてもかまいません。
そして、もしも主人公たちの前の時代のことを知りたくなったら〈サラファーンの星〉へ、という感じで。(先に書いたせいか、なぜか『ユリディケ』の方が序章のような気もしています。序章であると同時に、シリーズ全体の終章でもある、という立ち位置でしょうか。)
ネタバレになるので詳しくは控えますが、〈サラファーンの星〉では非業の死を遂げる登場人物もいます。その部分は、わたし自身、書いていて辛かったのですが、この話は『ユリディケ』の時代、すでに伝説として語られている物語で、変えるわけにはいきませんでした。
四部作を読んでくださった方に、彼らがふたたび活躍する物語を知っていただけたら幸いです。ちなみに、四部作を読んだあと、図書館でこのデビュー作を借りてくれた友人の感想は、「ああ、ほっとした!」でした。
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