ゴミ収集車を追え!
2020-06-23



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幼なじみの絵里ちゃんのお父さんは、とっても素敵な画家さんでした。
四部作のリーヴの父親が画家なのは、そんな憧れから来ているのかなって、
前にこのブログでも紹介しましたっけ。
これは去年の2月、そんな絵里ちゃんに起こったお話です。

ある日、絵里ちゃんは、バッグの中の埃を払おうと、財布などを出してから、
ゴミ箱の上でバッグを逆さにして、底をパンパンと叩きました。
なにか落ちなかったよね? 一応、ゴミ箱の中をちらっと見て確認。
よし、OK。

その翌日。ゴミの収集日。
絵里ちゃんは、朝ゴミ出しをしてから、仕事に向かいました。
車を運転しながら、突然、「あれ?」
なにか妙な予感がします。
もしかして、バッグのポケットに、実印を入れてなかったっけ?
それ、パンパンってはたいたとき、まさか落ちなかったよね?

信号で停まったとき、急いでバッグを確かめました。
あろうことか。ちゃんとしめていたはずのバッグのポケットが全開に!
実印を持ち出すときには、ママからもらった印鑑入れに入れて
そのポケットに入れていたのに…。

その瞬間、絵里ちゃんには、バッグのポケットから音もなく落ちる
ママの印鑑入れの映像が見えたそうです。
小さいから、ゴミとゴミのすきまにするっと入っちゃったんだ。
だから、確かめた時に、見えなかったんだ。

ガ〓ン!
急いで引き返しましたが、すでにゴミは回収されていました。
念のため(そして、はかない期待をいだきつつ)、
印鑑を入れている引き出しを見たけれど、ありません。
やはり、ゴミに出してしまったのです。
市の収集所に行ってしまったら、それこそ大変!

絵里ちゃんは、すぐにゴミ収集車を追いかけました。
夢中で運転して、ついに追いつき、ゴミを回収しているおじさんに、
事情を話し、自分の家のゴミ袋を探していいですかと伝えました。

でも、ゴミ収集車って、回転しながらゴミを集めているし、
中を探すの、大変です。聞かれたおじさんは、こたえました。
「いまこの中から探すのは無理だなぁ。ゴミ収集所までついておいで」

ずっとあとをついていって、車を停めると、
おじさんは、市の収集所の入り口で待っていてくれたそうです。
「こっちにおいで」
ほかの車のゴミと一緒になると、わからなくなるからと、
おじさんは、ゴミ収集車に積んでいたゴミを、
同じ収集車に乗っていたほかの男性たちと三人で、

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