『盗賊と星の雫』〓黒のジョーとジョサの秘密
2020-02-25



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第3部『盗賊と星の雫』には、
ギルデアの地下牢に囚われた盗賊ジョーが、老人ガリウスから
〈サラファーンの星〉にまつわる伝説を聞き、
世界を救う鍵となるダイヤモンドのブレスレットを彼に託され、
地下牢を脱し、危険な旅に出る……
という話が出てきますが、4部作のアウトラインを考えた当初は、
ジョーのシーンはそれほど多くなるはずではありませんでした。

もちろん、サラファーンの星のかけらのブレスレット〈星の雫〉を
ジョーが運ぶ、というプロットは、最初からありましたし、
それは物語の核を成す重要な要素ですが、ジョーのシーンは要所要所に
出てくるだけだったのです。

ところが、第1部が世に出たとき、
「短編を読むとしたら、どの登場人物の話がいいですか?」
というアンケートを、友人や知人に片っ端からしたところ
ジョーはほかをぐんと引き離し、ダントツの1位でした。
第1部では、ジョーは本当に少ししか出てきません。
なので、とても意外でした。

短編を書くのはいつになるかわからないし、それならいっそ、
この長編の中で、ジョーの出番を増やそうということになりました。
その時点ではすでに第2部はほぼ仕上がっていたので、
第3部から、ということで。
タイトルも、当初は『アイラの歌』でしたが、ジョーの出番が増えた
ことで、『盗賊と星の雫』に変更しました。

ところで、ジョーがガリウスから聞く、過去の伝説の物語は、
初稿では、いまの倍の長さがありました。
編集の小林さんは、『石と星の夜』に続いて、大幅にカットするよう
アドバイスしてきました。
伝説や過去の話があまり多いと、たしかに、間延びしてしまいます。
それはあとで別の物語にすればいいのでは?ということになり、
今回も、思い切ってたくさんカットしました。

『盗賊と星の雫』では、ジョーの物語と並行して、音楽家の道を
ひた走るジョサの物語が語られ、彼の秘密が明かされていきます。
これまで少しずつヒントを入れてきたので、読んでいて気がついた人も
いるかもしれません。
ジョサが体験する悲劇とともなって、
明るく脳天気な少年の裏の顔が見えてくるという展開です。
なにごとも、なにものも、見かけとは違う。
しばしばそう感じることがありますが
ジョサという少年には、そのことが、よくあてはまると思います。

第3部であたらに登場する、天上の声を持つ少女チェチェは、

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